不動産売却コラム
Column
金利上昇局面での札幌市不動産売却|2025年~2026年の住宅ローン動向と売却への影響
金利上昇局面での札幌市不動産売却|2025年~2026年の住宅ローン動向と売却への影響
2025年に入り、日本銀行による追加利上げが実施され、住宅ローン金利の上昇が現実のものとなりました。17年ぶりとなる本格的な金利上昇局面を迎える中、札幌市の不動産市場はどのような影響を受け、売却を検討している方はどのような対策を講じるべきでしょうか。
本記事では、最新の金利動向を踏まえ、2025年から2026年にかけての札幌市不動産売却市場の展望と具体的な売却戦略について詳しく解説いたします。
2025年の住宅ローン金利動向|日銀利上げの影響
政策金利0.5%への引き上げとその背景
2025年1月24日に、日本銀行が政策金利を0.5%に引き上げる追加利上げを決定しました。これは2024年7月の0.25%引き上げに続く追加利上げで、住宅ローン金利への直接的な影響が懸念されています。
2024年9月に変動金利の基準となる短期プライムレートが15年振りに上昇したため、変動金利への影響も出てきています。この流れを受け、多くの金融機関で住宅ローン金利の引き上げが相次いで発表されており、借り手の返済負担増加が現実のものとなっています。
今後の金利上昇見通し|2026年までの予測
金利上昇はまだ継続する可能性があります。植田総裁は「中立金利にはまだ相応の距離がある」と、従来の考えに変わりはないことを示したことから、専門家の間では2026年にかけて段階的な利上げが続くとの見方が有力です。
市場では「年内に追加利上げがある」との見方と「年内の利上げはなくなった」との見方が分かれていますが、個人的には国内景気が依然として回復傾向にあり、金融緩和も十分な水準であることから、年内にあと1度くらいの利上げがあると考えています。
ただし、利上げには借入金利の上昇により経済活動を抑えてしまう効果もあります。そのため、国内外の景気が悪化した際には、利上げ打ち止め、または利下げの可能性もあります。
金利上昇が札幌市不動産市場に与える影響
不動産価格への直接的影響
一般的に金利が上がれば借入コストも増加するため、不動産価格は下落傾向になります。金利上昇による不動産市場への影響は以下の通りです:
買い手側への影響
- 住宅ローン返済額の増加による購買力の低下
- 金融機関の融資審査の厳格化
- 購入可能価格帯の下方修正
売り手側への影響
- 買い手の減少による売却期間の長期化
- 価格交渉での劣勢な立場
- 売却価格の見直し圧力
札幌市特有の市場動向
2024年後半には一部の金融機関が住宅ローンの変動金利を引き上げましたが、依然として不動産価格は上昇傾向を維持しています。札幌市においても、エリアや物件タイプによって影響度に差が生じています。
好調を維持するエリア・物件タイプ
- 札幌駅周辺、大通・すすきの地区の高品質マンション
- 地下鉄沿線の駅徒歩5分以内の物件
- 新築・築浅の大規模マンション
影響を受けやすいエリア・物件タイプ
- 郊外の戸建住宅
- 築年数の古いマンション
- 交通アクセスの劣る立地の物件
2025年~2026年の売却戦略|タイミングと価格設定
売却のベストタイミング
金利上昇局面では、売却タイミングの見極めが特に重要になります。以下の要因を総合的に判断することが必要です:
2025年下半期の市場環境
- 追加利上げによる買い手の様子見姿勢
- 年末に向けた駆け込み需要の可能性
- 2026年の税制改正前の売却メリット
2026年の注目要素
- 北海道新幹線延伸工事の進捗による期待感
- 金利安定化への期待
効果的な価格設定戦略
金利上昇局面では、従来の価格設定では売却が困難になる可能性があります。以下の点を考慮した価格戦略が重要です:
競合優位性の確保
- 同じエリア内の類似物件との差別化
- 金利上昇分を考慮した現実的な価格設定
- 早期売却を重視した戦略的価格設定
買い手の心理を考慮した価格提示
- 住宅ローン返済額から逆算した価格上限の把握
- 値引き交渉を前提とした余裕のある当初価格設定
- 段階的な価格見直しスケジュールの準備
住宅ローン残債がある場合の売却対策
金利上昇による返済負担増への対応
既に住宅ローンを組んでいる方の中には、金利上昇による返済負担の増加に悩んでいる方も多いでしょう。以下のような対策が考えられます:
変動金利から固定金利への借り換え検討
- 将来の金利上昇リスクを回避
- 返済計画の安定化
- 借り換え手数料と金利差のバランス検証
任意売却による早期解決
- 返済困難になる前の戦略的売却
- 残債と売却価格の差額対策
- 信用情報への影響最小化
ローン残債がある物件の売却注意点
売却可能性の事前確認
- 査定価格とローン残高の比較
- オーバーローン状態の場合の資金調達計画
- 金融機関との事前相談の重要性
売却手続きでの注意事項
- 抵当権抹消手続きのタイミング調整
- 残債一括返済の資金準備
- 売却代金決済時の手続き確認
札幌市エリア別売却戦略
中央区・北区|都心部マンションの戦略
札幌市の中心部である中央区・北区のマンションは、金利上昇の影響を比較的受けにくいエリアです。
売却のポイント
- 立地の優位性を最大限アピール
- 投資用物件としての魅力も訴求
- 適正価格での早期売却を優先
価格設定の考え方
- 賃貸需要の安定性を根拠とした価格維持
- 類似物件との差別化要素の明確化
- 管理状況や共用部分の充実度をアピール
東区・白石区|住宅地エリアの戦略
ファミリー層に人気の東区・白石区では、金利上昇による影響がより顕著に現れる可能性があります。
売却のポイント
- 教育環境や生活利便性を重視した訴求
- 新婚・子育て世代への的確なアピール
- 住宅ローン控除等の税制メリットの説明
価格設定の考え方
- 近隣相場の慎重な分析
- 買い手の住宅ローン借入可能額を考慮
- 段階的価格調整の準備
豊平区・南区|郊外エリアの戦略
自然環境に恵まれた豊平区・南区では、金利上昇と併せて立地特性を活かした戦略が必要です。
売却のポイント
- 自然環境の良さと生活コストの安さをアピール
- テレワーク需要を意識した住環境の訴求
- 札幌中心部へのアクセス利便性の強調
価格設定の考え方
- エリア特性を理解した買い手への的確な訴求
- 維持費用を含めたトータルコストでの比較優位性
- 将来の資産価値維持の可能性を説明
成功する売却のための実践的対策
物件の魅力を最大化する準備
金利上昇局面では、物件の魅力を最大化することがより重要になります。
内覧前の準備
- ハウスクリーニングによる第一印象の向上
- 必要最小限のリフォーム・修繕の実施
- ホームステージングによる生活イメージの演出
情報提供の充実
- 住宅性能や設備の詳細説明資料の準備
- 維持管理状況の記録・証明書類の整備
- 近隣環境の魅力を伝える資料作成
適切な不動産会社の選択
札幌市場に精通した業者の選定基準
- 札幌市内での豊富な取引実績
- 金利上昇局面での売却経験とノウハウ
- マーケティング戦略と販売チャネルの充実度
複数社への査定依頼のメリット
- 市場価格の客観的把握
- 各社の販売戦略・手数料の比較
- 最適なパートナーの選択基準明確化
まとまりと今後の展望
金利上昇局面を迎えた2025年以降の札幌市不動産市場では、従来の売却戦略の見直しが必要不可欠です。物件種別やエリア間の格差は広がっており、2025年もこの格差は拡大していくものと見られます。
成功する売却のためには、市場環境の変化を正しく理解し、物件特性に応じた適切な戦略を立案することが重要です。特に札幌市においては、北海道新幹線延伸や冬季オリンピック・パラリンピック招致といった中長期的な材料もあり、エリアや物件タイプによっては金利上昇の影響を上回るプラス要因も期待できます。
2026年に向けて、金利動向を注視しながら、適切なタイミングでの売却実行を心がけましょう。不確実な市場環境だからこそ、専門家のアドバイスを積極的に活用し、後悔のない売却を実現してください。
札幌市での不動産売却をご検討の方へ 当社では、金利上昇局面での売却戦略について無料でご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。経験豊富な専門スタッフが、お客様の状況に応じた最適な売却プランをご提案いたします。
この記事の監修者
[監修者名] ハウスドゥ 札幌栄町 店長 谷橋 力良
保有資格: 宅地建物取引士
専門分野: 札幌市内の不動産売買仲介、相続不動産、投資用不動産
経歴: IT業界、飲食業界、WEB広告業界を経て、東京にて不動産売買仲介業をスタート。札幌の不動産業界では5年以上の実績。年間50件以上の売買仲介を手がけ、特に札幌市内の相続不動産や離婚に伴う不動産売却において豊富な経験を持つ。
モットー: 「お客様一人ひとりの状況に寄り添い、最適な解決策をご提案いたします」
札幌市の地域特性を熟知し、季節や市場動向を踏まえた適切なアドバイスで、多くのお客様の不動産売却を成功に導いています。相続、離婚、住み替えなど、様々なケースに対応した豊富な実務経験を基に、この記事を監修いたしました。