マンションと戸建てでは、売却時の価格のつき方に大きな違いがあります。戸建ての場合は土地と建物が一体となっているため、築年数が進むと建物の価値は徐々に下がっていきます。一方で、マンションは建物全体が共有資産であることから、立地や管理状況、階数、間取り、眺望、日当たり、さらには過去の売買実績といったさまざまな要素によって査定価格が左右されます。

同じマンション内でも階数や方角、リフォーム履歴によって価格が変わることも珍しくありません。つまり、戸建てよりも細かな条件の違いが価格に大きく影響しやすいため、査定時にはマンション売却に精通した不動産会社の見極めが不可欠です。

マンション特有の要素として欠かせないのが、管理費や修繕積立金、管理規約の存在です。購入を検討する買主にとっては、これらの金額や内容が毎月の負担に直結するため、売却時には必ず情報開示が求められます。

また、ペット飼育やリフォームの可否、バルコニーの使用ルール、ゴミ出しの方法といった日常的なルールも、買主にとっては重要な判断材料となります。こうした共有部分の管理状況やマンション全体の運営体制が評価されるのも、マンション売却ならではの特徴です。物件単体だけでなく「建物全体としての信頼性」も問われるのが、戸建てとの大きな違いです。

札幌市では、中央区や東区、豊平区などを中心にマンション供給が多く、築年数や立地に応じて価格帯や売れやすさがはっきり分かれる傾向があります。駅からの距離や周辺施設の充実度に加え、除雪体制や冬場のアクセス環境など、寒冷地ならではの要素も売却成否に影響します。

また、近年では中古マンション市場の需要が高まりつつあり、とくに築15?25年程度の物件が「リノベーション向き」として注目される傾向にあります。そのため、築年数が進んでいるからといって売却をあきらめる必要はありません。むしろ、立地や間取りに魅力がある場合は、思わぬ高値で売れる可能性もあります。

「できるだけ高く売りたい」と考えるのは当然のことですが、高額売却を実現するためには、事前の準備が非常に重要です。特に室内の印象は、査定時にも内覧時にも大きく影響します。日常的に使っている家具や生活用品を一時的に減らし、広さや動線の確保ができている室内は、査定価格にも好影響を与える傾向があります。

また、壁紙の汚れや床の傷が目立つ場合は、部分的な補修や簡単なリフォームを行うことで「手入れされた住まい」という好印象につながります。大規模な改装ではなくても、照明の交換や水回りの清掃だけでも印象は大きく変わるため、売却前のひと手間が結果につながることを意識しましょう。

「築年数が古いから売れないのでは」と心配される方も多いのですが、札幌市内では築20年以上のマンションでも十分に需要があります。特に、構造がしっかりしていて管理状況が良好な物件であれば、「リフォーム前提で購入したい」というニーズが高まっており、築古物件でも一定の価値が認められています。

加えて、古いマンションのほうが広い間取りや立地に恵まれていることもあり、「多少古くても利便性を優先したい」という買主に支持される傾向もあります。大切なのは築年数そのものではなく、管理の行き届き方や周辺環境、価格とのバランスです。当社では、築年数にとらわれず、その物件が持つ魅力を最大限に引き出す査定と販売戦略を行っています。

マンション売却の際には、周辺エリアの同一マンションや近隣物件との比較が必ず行われます。つまり、価格だけでなく、内装状態や設備の充実度、管理状況が他物件と見劣りしないことが、購入検討者にとっての安心材料となります。

このため、売却前には査定だけでなく、実際にどのような物件と比較される可能性があるのかを把握しておくことが重要です。そのうえで、価格設定や内覧準備に反映させることで、選ばれる物件として差別化を図ることができます。